ふたたぶ君の光
!ツイステ4章のストーリーネタバレはないと思うけど何かあるかもしれない !わけあってくっついたあとの二人 !夢主がオバブロしたあとの話です 自分のオーバーブロットっていうと、つまり暴走したことが周知されているわけで。ヒソヒソとした会話を聞きながら教室に行かなければいけなかった。スカラビアの皆は俺に優しいけれど寮長としてやらかしてしまったのは事実だ。リドルもアズールもよくこの恥ずかしさから抜け出たなあと思う。あ、あとキングスカラーもだっけ。すごい。俺にはそんなことはできなさそうだ。 情けないことに俺はメンタルがそこまで強くない。長期休みが終わって三日目あたりで俺は学校に出ることが怖くなった。寮生活だし引きこもりでいられるわけがない。何とか学校に出なければ、と思っていたらジャミルに見つかった。 あの事件のあと、ジャミルはよっぽど過保護になった。バイパー家から何か言われたのかと思ったがそうでもないらしい。俺は実家から盛大に叱られて迷惑をかけた寮生たち一人一人に謝罪してまわったのだがバイパー家は俺が謝ったときに「ジャミルがよっぽど変なことをしたのではないかと心配で……」と返されたほどである。ジャミルはよくやってくれています、と安心させるような言葉を言っても彼らに伝わっているのかどうか曖昧である。これを言ってジャミルが弟たちに取られたらショックで死ぬ。 過保護なジャミルに恋人らしい甘い話を期待すると従者としての言葉が俺を殴ってくる。これがなければいいのになあ、と思ったがジャミルには笑顔で拒否されるばかりだった。 「#名前2#、もし嫌じゃなければの話だが……」 「んー?」 「明日から、手をつないで教室に行くか?」 「ん? んーー、そうだなあ……って。え?」 言い出したほうのジャミルは顔を真っ赤にさせて別方向を見ている。おーい、俺を見ろよと声をかけたら「どっちにするんだ!」と叫んできた。 ――だって、お前からそういうこと言ってくれると思わなくて。俺の素直な気持ちにジャミルはふっと笑った。ふはははと大声で笑いだしたジャミルにびっくりしていたら「もう忘れたかもしれないが……」と昔話をはじめた。 まだ熱砂の国にいた頃にすぐどこかに行く俺を心配したジャミルと手をつないで遊んでいたらしい。兄様だけずるいって言われても絶対に手を離さなかったとか。俺はそんな記憶が全くなかった。 「……で、どうする? #名前2#」 「……。よろしくお願いします」 ジャミルの勝利である。 ジャミルと手をつないで教室に向かっていたらシルバーに見つかった。ん゙、とジャミルが変な声を出したが手は離さなかった。 「……仲良し、だな」 「休み中に色々とあってな。ちょっと大けがをしてきた」 「大けが? 平気なのか?」 「痛みがあるのと、あと魔力の暴走があるくらいかなあ」 「! なるほど、魔力の暴走は人の手を握っていると収まりやすいんだったな。安心するおとなしくなるってことなのか」 「多分そうだと思う」 ジャミルは顔を真っ赤にさせていたが俺の嘘に何も言わなかった。 放課後、俺が寮に戻るのに一緒にジャミルも帰ると言ってくれた。部活はいいのか?と聞いたら別に内申点のためだったからなとあっけらかんと教えてくれた。 「部活よりも恋人の体調を心配するのは当たり前だろう」 「……恋人って自覚あるの。分ってたの」 「!? なんでそんなことになるんだ。今更恋人じゃないなんて言い出しても無視するからな」 「いや、そんなこと言わないけどさ。……俺が何かしようとすると嫌がってたじゃん」 「あれは#名前2#が人がいる前で何かしようとするからだ」 絶対それだけが理由じゃなかった気がする。ジャミルは帰るときも手を何も言わずにつないできた。昨日に聞いた迷子の話を思い出してしまう。 「なあジャミル。俺もう迷子になることないと思うんだけど」 「? 知ってるが……」 「……じゃあ、迷子になるのは誰だろうなあ」 何をいまさらって顔をしてくるから俺は茶化したように言ってやった。ジャミルはふっと気障っぽく笑ってみせた。 「オーバーブロットしたやつが何言ってんだ。嫌なら手を離せよ」 「っぐ。それを言われるのはボディブロー並みにきつい」 あーあ、俺の負けですよ。そう言いながら手を離そうとしたらジャミルの左手はがっつりと俺の右手握っていた。 「……ジャミル?」 「なんだ」 「あのさあ、手がさあ」握られたままなんだけど。 「言っただろ、無視するって」 そういってジャミルはにやりとジャファー様のように笑った。 boothでコピ本でDLできるようにしました。