02 創作にころされる

title: 自作

 ふっふっふ。なんとなく笑える話だが、ここは、わたしの書いた夢小説の世界のようだ。なぜそんなことが分かるのかというと、病室で虎杖悠仁と仲良くなってしまったからである。今のって虎杖悠仁だよね……? と思った瞬間、どろどろとした胡散臭い神様に転生させられた記憶を思い返した。悪役令嬢のように衝撃的な痛みがあるかと思ったらそういうことはなかった。足がつったぐらいの痛みである。記憶ってそんなものなのか……と思ったが神様のおかげかわたしの夢小説の世界だからか。  自分の家に帰るまで足がつったような痛みを抱えるのはわりと辛かった。湿布貼っても直るようなものではないし。  それにしても! なんで呪術廻戦の世界なのだろう。つらい。いくらトリップものが好きだと言っても自分が、こんな、人の死ぬ世界に、しかも自分の書いた夢小説の世界になんて来たくなかった。  というか、わたしがあそこにいたということは恐らく夢小説の主人公もあそこに来ているはずである。虎杖悠仁を一方的に探し当ててにっこりと笑ってるような最強夢主が彼女なのだから。えっと、このシーンって連載の何話目だったっけ? まだ夢主はあの人とは会ってないと思うんだけど。  わたしは考えた挙句、家に戻る前に文房具店に寄ることにした。悪役令嬢のように連載をまとめる、ということがしたくても同じ日本である。わたしは外国語、というか英語はてんでダメだし他の言語に翻訳したとしても結局翻訳すれば読めてしまう。とりあえず家族の人には見られないように鍵付きノートに書き留めておくことにする。可愛いノートは見つからなかったが、分厚くてかっこいいものは見つかったのでこれを使うことにする。ノートに1000円以上払ったのは初めてだった。  家に帰って早々に自分の部屋に飛び込んだ。手洗いうがいはしたかー? と言われて慌てて洗面所に行ったけれど。制服を脱いで部屋着に着替える。頭の中にある連載はあんまり覚えていない。書いたものが手元で確認できないのだから頭の中の記憶が頼りなのだが、プロットを作ったわけでもなく原作の漫画を片手にちょこちょこと書いていたものである。急がないと記憶が消えそうだと思った。  わたしが書いた最強夢主の名前は指貫世祖。さしすせそ、という名前を元に作ったので刺々しい名前をしている。書くのが面倒になって○の中にせと入れた。  世祖は五条悟と同じかそれ以上に最強にしてある。わたしが最強夢主が好きだからだ。今までハマったジャンルではずーーっと最強夢主を作ってきた。ツイッターにいるとうわぁ、と嫌がる声を聞くこともあったが人の好みに好き嫌いがあるのは仕方がない。  それと、うちの最強夢主は好きな人がいた。オリキャラとの恋愛である。へたにキャラクターと絡むのはわたしは得意ではなかったので、自分が動かしやすいオリキャラを何人か動かしていた。冥冥と憂憂の関係を見てから「こういうのもアリなんだ!?」と思って途中からオリキャラは呪術師としての世界に突っ込ませたと思う。えっと、オリキャラの名前は…… 「そうそう、#名前1##名前2#!」 「え? 呼ばれた?」  部屋の外から声が聞こえる。さっきわたしに手洗いうがいを呼びかけた人。父と母が、下宿を許している人。 「#名前2#さん……」 「うん、いるよ。今日はバイトないから」  違う。そうじゃない。そうじゃないです。あれっっ!!?!?!