強さの仮定「不可能な」「裁き」「先入観」

!サーヴァント主 !2部時空  シャーロック・ホームズというと犬で育ってきた俺はまず彼を見た時に「あ、すごくうさんくさい男だ!」と思い、その次に「えっこれがホームズ!?」と驚いてしまったのだった。まず人間であることに驚き、そして虫眼鏡をいっぱい体から生やしていることに驚いた。(虫眼鏡はコルセットのものであった。)  先入観というものは怖いもので俺にとってはシャーロック・ホームズはぽんこつモリアーティをこらしめるしワトソン以外とも仲がいいしハドソン夫人に優しいあの犬ホームズばかりが頭に浮かびそれを否定するかのごとくな彼の行動に頭を締め付けられるのだった。  そんな彼を見て#名前2#は「俺ってホームズについてよく知らないんだなあ」と思い彼に話しかけることにしたのだった。ニニギノミコトにも励まされて#名前2#は彼を追いかけていたわけだが、ホームズは自分が観察されることを嫌がるのか#名前2#のことを避ける動きをしていた。 「#名前2#くん、大丈夫? 死にそうだね」 「めちゃくちゃ死にそうだよ。うーーん、次の策ってのが思い浮ばねえ!!! どうしようかなあ」  #名前2#は突然サーヴァントの依代?なるものに選ばれ召喚された。何を言ってるか分からないと思うが俺だって分からないのだ。何の因果か降臨に値するだとかなんとかで天孫降臨、ニニギノミコトがサーヴァントとして召喚されている。 それにしても天孫降臨という言葉はかっこいい。中二病の時にぜひ知りたかった言葉だ。  ニニギノミコトが三種の神器を持っているせいでセイバーとしてクラスがあてはめられているらしいが俺は……あまり、剣を使うことはなかった。宝具の天孫降臨でもやっぱり剣は使わない。持っているのに不思議だ。  日本には人類最強の女性とかいるのになぜ拳法を少しかじっているだけの俺に取り付いたのか知らないが……サーヴァントの依代になるのは意外や意外、めちゃくちゃ体が強くなっていた。元々太極拳は人を殺すための拳法なので気をつけてくださいねと先生に言われていたがまさにそれだった。殺さないようにとても気を遣う。李書文という人も同じようなことをしているらしいが、ホームズはどうなのだろう。バリツ、という武術をやっているらしいが。  #名前2#の相談に乗っていた少女タイプのダヴィンチは#名前2#の話を聞いて「犬ホームズ」という言葉の方に気になってしまったようだ。 「犬ホームズと違うってそれだけの理由で、彼を観察しているのかい?」 「うぃっす」 「ふーん? 面白いことしてるね!って言いたいところだけど。彼をずっと追いかけるなんて不可能なじゃないのか? チャレンジしてんね」 「いやー、不可能だからこそ、でしょ!」  なはは、と笑っていた俺にダヴィンチは「そういうもんかあ」と変な顔をしていた。 「私が言っていいことか分からないんだけどさ。君はもう少し自分について考えた方がいいんじゃない?」 「え?」 「……忠告は、しておいたからね」  #名前2#はよくわからん、という顔をしながらダヴィンチに礼だけ言ってレイシフトの準備に行った。今日は絆レベルをあげるとかでレイシフトに連れていかれることになったのだ。 「行ったみたいだよ、彼」 「……みたい、だね。まさか彼が犬を見て僕を追いかけてるとは思わなかったな」 「名探偵でも解けない謎ってのがあったのかい?」 「いや。あれはむしろ神と融合した人間の記憶が僕の能力よりも上回ったという方が正しいかな」 「ルーラーは神様さえも裁く立場にある、か。大変だね、苦手な相手にも平等かつ冷静に対処しなきゃならないなんてさ」  ダヴィンチのにやにやした顔は大人になっていた時と変わらない。先に部屋にいたホームズをわざわざサーヴァント用に光学迷彩をかけて部屋に隠しておいたのは単純に「面白そうだったから」である。  あの名探偵のホームズが#名前2#を避けていた理由ははっきりとしていた。彼はゴドフリー・ノートンとよく似ていたのである。顔というよりも雰囲気、その性格などだろうか。ニニギノミコトという神様が#名前2#の中にいることもあるかもしれない。謎ではあったが、とにかくホームズにとっては#名前2#はどこか触れたくないものだった。 「さて。ここで謎がひとつ解明されたわけだけどどうするんだい?」 「何がだい」 「君のホームズという概念は私にもよく分からないけど、#名前2#くんのほうで君っていう存在が分かったら君のことを追いかけることはなくなるんだよね」 「……そういうことになるね」 「追いかけてきた犬がいなくなると、君はどうするのかな」  わざとらしい言葉とほほ笑みにホームズもあえて笑った。 「#名前2#をこのまま逃がすと思うかい?」 「思わないから忠告したんだろうー?」 「そうだったね」