迷惑でなければ僕らが抱き合って眠る一行をどうかください

 わたしの好きな人にはもう既に幼なじみという恋人のようなそんな存在がいて、わたしは恋を自覚した時にはもう諦めなければならなかった。  わたしはどうやら「胸が大きくてエロい」女と思われているらしく。わたしが作ったものは男の人にたいしてちゃんと見てもらっているとは思えないが彼らは積極的にチャレンジしてくる。  つまり、話すきっかけとしてわたしが作った手芸用品を褒めにくるのだった。それいいね、と言いながらも彼らが見ているのはわたしの体だ。ほんとにー? うれしいー! と精一杯かわいい声を出しても、彼らが見ているのはわたしの顔でもなく胸だったりする。  好きで大きくなったわけではなかった。重たいし、運動するのも辛くなるし、可愛い柄の下着が手に入らない。夏はとにかく暑くて傷ができることもある。洋服も胸が入るものを選ぶことが第一で、自分の好みなんてちゃんと考えたことがない。  わたしは、可愛い女の子になりたかった。それで、可愛い女の子と付き合って、ふたりでおばあちゃんになるまで暮らすのだ。  まあ、そんな夢物語は叶わないだろうとは思っていたけれど。それがハッキリと「幼なじみの男の子がいるから諦めましょう!」と突きつけられるのは胸が苦しかった。だって、わたしが幼なじみとして出会っていてもきっと彼女はわたしのことを好きにならないから。女の子は、男の子には勝てないのだ。  デートしませんか、と言ってくれたその人はわたしの顔をちゃんと見ていた。いつもふざけているような男子だし、とそんなに好感があったわけじゃないけれど。わたしが作った刺繍を見てものすごく褒めてくれて、手芸についても調べてくれて、ほんとに頑張ってるのが伝わってきて、デートしてもいいかな、と思ってしまった。  わたしがデートすると決めたことは女子の中ではいちはやく広まった。つまり、わたしがどんな奴を相手にするのか、自分の好きな人がわたしの「エロ」に引っかかっていないかを気にしていたのだ。  そんなに冴えない男だとわかった時、彼女たちはものすごい勢いで頑張れと応援してくれた。今のうちだ、と思っているのがすぐにわかった。彼のことを好きな人がいたら申し訳ないけれど、多くの女の子は自分の恋のためには容赦ない。  わたしのことを本当に応援してくれたのは、ごくわずかだった。その内のひとりが、わたしの好きな人だった。そりゃあそうだ、と思う。彼女には好きな人がいるんだから。寂しさをおぼえるのはお門違いと分かっているけれど、辛かった。 「……蘭ちゃん、時間があれば一緒にデートの服見て貰えない?」 「え? もちろん~~! でもいいのかな、わたしなんかで……」 「蘭ちゃんがいいんだ」  今度の休日、わたしは好きな人とデートをする。それはわたしが彼女をあきらめるためのデートに着ていく服を選ぶ日だ。わたしは彼女に選んでもらった服を着て、たいして好きでもない男の人に会いに行く。大丈夫。きっと、いい恋になるだろう。