今日カワイイから出掛けない

 あゆみちゃん、と声をかけると歩美ちゃんはとてとて近づいてきてとても小さな声でわたしの名前を呼んだ。せっせと裾をひっぱるので、しゃがみ込めば耳打ちをしてくる。あたたかな息と、ちいさな声がわたしの鼓膜にとどいた。 「#名前2#おねえさんに、いいものあげるね」  えっ、いいもの……? 子どもたちに過去に「いいもの」と称してもらったものと言えば金色の折り紙だとか、ものすごくきれいに保存されたセミのぬけがらだったりする。歩美ちゃんの「いいもの」とは一体……と若干怖がりながら手を広げると歩美ちゃんはいそいそとポケットからなにかを取り出した。  渡されたものはおもちゃの宝石だった。これ、今もあるんだとビックリするようなおもちゃ。わたしの頃は出店ですくったり、ゲームセンターでとれたものだった。今もゲットする方法は変わらないだろうか?  昔、友達とみんなで見せあった。お互いにかぶったものを交換したりした。何がいいのか今の自分にはサッパリわからないけれど、宝箱にぎゅっと詰め込んでいたことをよく覚えている。 「これ見た時にね、#名前2#おねえさんのこと思い出したの」  わたしの髪の毛は、こんな宝石みたいな綺麗な青色はしていない。インナーカラーとして隠すように入れているので、黒髪に紛れるようなものだ。こんな鮮やかな色はどちらかといえばコナンくんに似合うと思う。 「……わたし、似合うかな?」 「うん!」 「コナンくんよりも?」 「#名前2#おねえさん、可愛いもん!」  うわっと思った。今すぐ歩美ちゃんを抱きしめてあげたかった。