そんな世界は解釈違いです

簡単なあらすじ「スカーが可哀想になった読者の方からtwst世界での二人が見てみたいと言われて無理くり擬人化&転生させた話 ・成り代わり主に記憶ない ・スカーめっちゃ記憶ある ・今回は血の繋がりがない。not近親相姦」  この世界は、なんというか、歪だ。私が知らない私がなぜかグレートセブンという名前をさずかり、何だか持ち上げられている。私が兄より素晴らしいことがあるはずがない。兄こそがあの場に立つべきだ。私は絶対ナイトレイブンカレッジなどに入学するものか、と思っていた。父は魔法を使えない凡庸な男だ。ナイトレイブンカレッジについてもよく知らない。私が魔法を使えると気づいた時には泣いて喜んでいた。私は父しかいない家庭だったが母はこのつまらない父親に愛想をつかして家を出ていったのだと知っている。つまらない男が泣いていても私にはどうでもよかった。  スカーであった頃の記憶が蘇った時、小説のように苦しむことも悲しむこともなかった。私がこの世界にいるのだから兄もきっといるのだろう、と思った。今度こそ兄の横に立ちたかった。それだけが望みだった。私は兄しかいらなかった。兄にいつ会ってもいいように私は金を貯めることにしていた。 「タカ、新しい母さんとお兄さんになる#名前2#だ」  その金が全く使い道が分からなくなってしまった。私の前には#名前2#……兄様がいた。生まれた年代的には数ヶ月差の兄ということになるらしい。私はもう人間だ。おそるおそる手を伸ばすと兄は私の手を掴み「はじめまして!」と挨拶してくれた。兄様が、いる。それだけで私は倒れそうだったけれど私は踏ん張った。兄様の前で変な様子は見せられない。 「タ、タカです」  スカーというあだ名をいただく前の、私の名前。兄様は「タカ! いい名前だね!」と私に笑いかけてくれた。ひょこひょこと動く耳、揺れるしっぽ。私はゆっくりと兄様に抱きついた。  兄様も魔法が使えると聞いた時には誇らしかったがナイトレイブンカレッジに行きたいと言われた時はなんでですか!?と叫んでしまった。常日頃から兄様に付き従う私がそんな声を出したことに兄様はびっくりされていたが「俺、スカー様にすごく憧れたんだ」と笑っていうのでモヤモヤした。それは私であって私ではない。あなたのスカーは、タカはここにいる。スカーさま(こんな言い方は好きではないが)と同じとかいう髪色なども全く誇らしくはない。私は兄様の髪の色の方が好きだ。 「タカ、お前はどこの学校がいい?」 「……兄様と、同じが、いいです」 「えー、本当に?」 「ほ、本当です!」 「でも父さんがタカはナイトレイブンカレッジは嫌だって」 「そんなこと言っておりません、父の聞き間違いです」  あぶない。変なところでフラグを回収するところだった。兄様はすごく驚いていたけど「タカと一緒に行けたらいいな!」と笑ってくださった。兄様にそんなこと言われる自分がいるとは思わなかった。強く頷いた私を兄様はゆっくりと抱きしめてくれた。  入学式はザワザワとしていた。私がそれなりに有名人ということらしい。兄様がまるで付き人のように思われていることに腹が立ったが兄様は気にせず「タカはすごいな!」と笑うので私も強く言えなくなる。獣人ということで案の定2人ともサバナクロー寮に配置されたがその寮長がやけに気だるげでやる気がない。確か王族の……レオナ・キングスカラーだ。私は兄様以外のライオンに頭を下げるつもりは全くないのに。 「兄様、あのような男に従ってやることはないのでは」 「まあまあ、タカ。俺らはまだ何も分かってない1年生なんだから」 「なになに? 下克上ってやつっすか?」  ひょこっと現れたのはラギーというハイエナの獣人だった。この男は先程から私と兄様の元に来ては話しかけに来る。折角の兄様との会話に邪魔しないで欲しいが兄様は明るく返事をするので我慢する……。気に食わないものは気に食わないが!! 「そんなんじゃないよ、ラギー」 「#名前2#たちは同じライオンだから思うことがあるのかなあって」 「群れのボスにはちゃんと従うよ」 「ふぅん」 「そこ、うるせぇぞ」 「すみません」  俺が素直に謝ると向こうもそれ以上は言う気が失せたのかすぐに前を向いた。タカが横で何も兄様が謝ることないのに。と呟いている。ラギーが苦笑いしていた。弟は俺を過信しすぎているというか、俺のことを盲目的に持ち上げる気質がある。兄が元から欲しかったのかと思ったが義父から聞いた限りではそんなことは無かったらしい。何でもさっさとこの家を出ていくから金を貯める、とずっと貯金をしてたのだとか。再婚してからは家を出るなんて言葉は滅多に出なくなったらしいけれど。  タカには自立する気持ちはあるのだ。ただ、それと同時に俺の言うことに従おうとする気がある。この学校で変わってくれればいいのだが……と思うがそれはなかなか難しそうだ。  その日の入学式は滞りなく終わった、と思うのだが。寮での部屋が分かれたとタカは不満そうだった。タカと同じ部屋になったラギーには苦労をかけると思うが根はいい子なのでちょっと頑張って欲しい。それでも最初の1ヶ月くらいは駄々をこねていたので「別の部屋なら待ち合わせができる」と言いくるめるとタカはぎゅっと我慢するようになった。ラギーから猛獣使いじゃねえっすか、と言われたがそんなことは……ない、はず。