バイオレットソナタ

 #名前2#さんと体を繋げた日のことはいつまでも覚えている。そう、今日はお正月。私がようやく恋人の座を射止めた日だ。記念日が記念日に重なっていると面倒だと思われそうだが、#名前2#さん自身年があけることに何の思いもない。仕事納めは29日まで。大晦日にかけてまで大掃除をこなした。ベッドシーツが選択されるのを見て少し、ほんの少し期待していた。シャワーを念入りに浴びて部屋に戻る。さっきまでなかった紙袋がちょこんとベッドに鎮座していた。  慌てて飛びついて中を見るとメッセージカードとマフラーが入っていた。正直言って期待はずれだった。そこはどこかのエロ同人みたいに玩具やランジェリーを入れても良さそうなのに。あえて真っ当に外してくるあたりは#名前2#さんらしいとも言える。メッセージカードを見ると同時に私は急いで#名前2#さんの部屋へと駆け込んだ。 ーー誕生日プレゼントが遅くなって済まない。お前は何かものを欲しがるという性格はしてないので素直に欲しがりそうなものを考えた。  ベッドで1日過ごす準備は出来てるからな。  #名前2#さんはパジャマを着てベッドにいた。勢いよく扉を開けた私に「誕生日おめでとう」と笑いかけてくれた。 「あ、の」  言葉が詰まる。胸がいっぱいだった。体だけでいいなどという殊勝な考えはもうどこかへ消えさっていた。いや、そんな考えはただ#名前2#さんに捨てられる時のための言い訳だ。受け入れてもらえなかった時のために安全策として考えていたのだ。#名前2#さんは今、私のもとに堕ちてきた。ここから逃がさなければいいのだ。  ふっと考え込んだ綺礼に#名前2#はそうっと腕を伸ばした。気づかれていないのをいいことに、#名前2#はむにっと綺礼の耳たぶを指で挟んだ。 「!?」 「……ああ、柔らかい」  微笑まれて耳がむにむにと揉まれている。視線が交わった。時が止まるような感覚とはこういうことを言うのだろう。微笑まれた。耳に触れていた手が動く。引き寄せられたままキスをした。音を鳴らすのは私の趣味ではなく#名前2#さんの趣味だ。舌を絡ませあい、#名前2#さんにただただ体を預けた。手が服の下へと忍び飲んでくる。色気もないスウェットだが、#名前2#さんはそれでも面白がっているらしい。裾のリブを噛まされて#名前2#さんは胸を揉むように撫でた。性的な触り方だったし、期待値も上がってしまう。下から挑発的に、わざと送られる視線にぞくぞくとした快楽が背筋を這った。この人にこんな表情をさせられるのは私だけなのだという優越感だった。#名前2#さんはまた私にキスをしようとする。服をかじっていた口だ、本当はしたくない。口を逸らそうにも#名前2#さんの視線に私は勝てなかった。簡単に触れるだけのキスだった。 「綺礼の誕生日プレゼントのはずだがなあ、俺の方が貰ってるみたいだ」 「んっ……それで、ぁっ、ん、よいのです」  #名前2#さんと今、こんな風に過ごせることが1番なのだ。  ベッドの上で私はずっとこの姿勢を貫いていた。ぬちぬちと音が鳴る。慣らしたそこを#名前2#さんはゆっくりと指を差し込み広げようとしていた。腰だけを突き上げてそれをずっと享受するのだ。私の羞恥心が限界を迎えたというのに#名前2#さんは笑ったまま抜く気配もない。 「~~ッ! はやく、いれてください!」 「まだダメだって、痛いのは嫌だろ」  痛いのは嫌いだ。だが、こんなあられもない姿で#名前2#さんの視界にずっといるのも嫌だ。体毛の色素は薄い方だが見せても萎えるばかりだ。顔を合わせたいのに#名前2#さんは許してくれない。前立腺には触れるか触れないかの微妙な加減でこすられる。それがもどかしくてたまらない。 「綺礼、ずっとハメておくには前準備も大事なんだよ」 「……知りません、そんなこと」 「ごめんごめん、待たせたな」  ちゅぷりと指が抜かれた。仰向けになり#名前2#さんとようやく対面できるようになった。勃起していたペニスを簡単にしごく姿を見てデジャブを覚えた。そうだ、あの時は#名前2#さんがオナニーしている所を初めて見たのだ。顔を近づけた私に#名前2#さんは「どうした?」と聞く。そんなこと分かってるだろうに。わざとらしい質問に私もそれなりの態度で返した。口を開き舌を伸ばして待っていた。#名前2#さんが頭を撫でる。ゆっくりと舌の上に置かれたペニスを頬張る。濡れた音がする。見つめられている感覚と時たま押し付けるように動く腰に肌が粟立つ。 「いいこだ」  熱塊を手のひらで撫であげる。やりたいことが分かったのか#名前2#さんは肩を押し返そうとした。でも弱かった。まるで女のようだった。口奥に押し込むようにしがみついた。時折、えずきそうになった。だが#名前2#さんのものを咥えていると思うと気にすることもなかった。きれい、と名前が呼ばれた。小さな声だった。本当は口に出してほしい。だが、#名前2#さんに押し戻された。唾液が端から流れ落ちる。指で拭われまたキスをした。 「今日は優しいですね」 「いつもだろ」  拗ねたような#名前2#さんの鼻頭に噛み付いた。押し倒され避妊具をつけられた。#名前2#さんは自分のものにもつけると、ようやく笑った。長い前戯だったが#名前2#さんが喜ぶのなら構わない。誕生日プレゼントなのだから、少しくらいは私もわがままを言っていいだろう。疼く体の中を#名前2#さんに徹底的に暴いて欲しいなんて、こんな時でしか言えないのだから。  ローションで濡らしたそこに屹立が当てられる。いつもはゆっくり挿入するのに#名前2#さんはぢゅぐりと一気に押し込んだ。不意打ちのそれに一瞬息ができなかった。熱量の収まった腹をさすられる。大丈夫か?と聞かれるが微笑むぐらいしか出来なかった。  胸を揉まれながらゆっくりと動かれる。乳首を擦られ、寒さと快感とで勃ち上がった先をいじられる。舌で吸われ、ペニスを擦られた。  痛いのに#名前2#さんに微笑まれてキスを送られて愛されてるように感じて気持ちがたかぶってしまった。 「ン、っ…ぁああ…ッ」 「綺礼、まだ気ぃ無くすなよ」  イッた感覚はあるのに#名前2#さんはわざと腰を大きく揺らした。変な声が喉から出る。生理的な涙が出てきたが#名前2#さんのスイッチが入ったように変わっていく姿に笑みがもれた。  足を掴み、腰を振る。獣のような動きだった。体を抑え込まれて#名前2#さんしか見えなくなる。ギラついた瞳の中に自分が見えた。いやらしい姿だ。女にされている感覚がする。腹の中が疼いてしまう。#名前2#さんは歯を噛み締めて「おい、これ以上締めるなッ…!」と言う。そんな事言われても煽ったのはそちらが先だ。私を、こんな風に変えたのは貴方だ。  いや、最初から私はこの人が全てだった。この人のモノになりたかった。もっと、と言葉にならない声が溢れる。好きでたまらない。 「ぁあ゙っ、イクッ…」 「#名前2#さ、あ、あぁっ…! ひぃっ、んぅ、うぅ~……」  #名前2#さんの精液を感じて私も達してしまった。舌も閉まっていられないで息を荒らげながら#名前2#さんを見る。いつもなら止められそうだが、#名前2#さんはぐっと腰を押し込んだ。私も体を少しよじらせてから#名前2#さんに足を絡ませる。二人とも考えてることは同じだった。 「まだ行けるか」 「はい」  記念日にベッドで過ごせるなんて、これ以上ないくらいに幸せを感じた。