憧れてたの、知らないでしょ

※近親相姦(?)ネタ注意。義父×息子。

「自分に勉強の心配はいらない。代わりに自分の世話をしてほしい」
 義理の息子にそんなことを言われてはいそうですかと頷くわけもなく色々とつきっきりで教えていた。嫌がっても教えていた成果なのか、いつしか息子は義理の親子という関係のことも忘れて自分にとても懐いてくれたと思う。嬉しくてそれはそれで良かったのだが。
「早く結婚しろよ!!」
 飲み干したコップを机に叩きつけるとすぐに酒が注がれた。友人はさっさと飲めよと目で促すのでアルコールに浸った頭がなし崩しにそれを飲んだ。
「お姉さん、熱燗もう1本ー!」
「はぁーい!」
 迫っ苦しい居酒屋で相席同然のそこに男二人で向かい合って座っていると何か変なことを勘繰られるのだが自分と友人はただの友人に過ぎなかった。
「これで俺ァ何杯だ?」
「さあな」
 つれない言葉にケッと天邪鬼な返事をしてしまう。友人はそんな俺に慣れているので「息子くん、大変なのか」とすぐに話題を切り込んできた。
「……いい子だぞ? 完璧なくらいだ」
「でも?」
「恋人が、なあ……」
 恋人がいる時期もあったが、社会人になってからはそれもとんとなくなった。なぜ分かるかって言うと息子は家から会社に働きに行って、かつ帰る時には連絡を欠かさないからだ。
「かぁ~~ッ。愛されてるじゃねえか」
「そりゃ分かってるよ。でもなあ」
 義理の息子だもので、年齢差はあまりない。しがない会社勤めとエリートの息子だと家の中だって格差が生まれるではないか。父親としての威厳が全くない。ないのは仕方ないにしても、それを毎日見させられるのはキツい。さっさと結婚してあの家を出ていってくれればいいのだが。
「それはそれで寂しいんだろ?」
「それな」
 一人暮らしするつもりがぽっと現れた息子のため、他人のいる生活に自分は慣れきってしまった。今更一人暮らしに逆戻りというのは心が折れてしまいそうだ。
「かといって、結婚する気はねえしなあ」
「そこがダメだろ」
「るせーよ」
 結婚したところで、自分は女性を幸せにできない。だったらしなくていいやと思う。
「そろそろ……帰るか」
「早いな。まだ23時だぞ」
「息子が心配なんだ、言わせんな。あいつ、家事能力ないし」
 友人はまだ一人で飲んでいくというので一万円札を置いて居酒屋を出た。遠くに暴走族のバイクの音がする。今の時期にも暴走族はいるのだなあと家路を急いだ。田舎のせいで早くもやってくる終電に乗り、バスを乗り継いでようやく家に帰ってきた。電気はついていない。それなりの値段のアパートだがよく分からない構造のせいで3階に住んでいてもベランダが道路からでもよく見えてしまう。階段を上り玄関を開けるとゴチンという硬い音がした。
「……ゴチン?」
「#名前2#さん、おかえり」
「ふぁっ!!? いやいや、なんでいるんだよ!!?」
「……? サプライズ?」
「首傾げられても困るんだけど」
 中に入ろうと声をかけると素直に中に入っていった。さすがに明日からは仕事が休みになった。代わりに三賀日までが休みで4日からまた仕事が始まる。息子の方も似たようなシフトらしい。
「#名前2#さん、はい」
 明日に食べるためのおせち料理を小皿に出された。味見しろというのか。食べてみると案外うまかった。どうした、これ?と聞けばお隣さんから貰ったらしい。#名前2#さんがまずいと言えば捨てるつもりだったと言ってくる。なんだこの息子、怖い。
「綺礼、お願いだから勝手に物を捨てるな」
「でも#名前2#さんがまずいと思ったら食べませんし」
「いやいや、口に合わなくてもなんとか食べるから!! さすがにそのまま捨てるのはダメだろ!!?」
 息子、綺礼はそういうものですか?と首を傾げる。そういうもんなの、とキッチンに見つけた重箱を冷蔵庫にうしまった。
「綺礼、今年はありがとうな」
「……いえ、こちらこそ」
 綺礼は一瞬陰のある顔を見せた気がしたがすぐにいつもの笑顔になった。友人はこの笑顔が怖いというが俺は可愛いと思う。この時間に風呂に入るのはまずいので明日は朝シャンしようと言えば綺礼は分かりましたと頷いた。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
 これで家事能力が備われば綺礼はいつでも優良物件になれる。可愛いお嫁さんもらって結婚してくれればいいのになあ、なんて思いながら眠りについた。

 綺礼は俺の兄の息子だ。兄が生きてる頃にもちょこちょこと綺礼と遊んでいたのだが、まさかの兄の病死もあって俺が綺礼を引き取った。昔から#名前2#さん、#名前2#さんと追いかけていた綺礼を兄は朗らかに笑っていた。親子になってから父さんと呼ばれなかったのはいいのか悪いのか。慣れの問題かと思ってたが結局今でも俺は#名前2#さんで兄のことを父さんと呼ぶ。俺は父親にはなれなかった。
 父親らしいことが分からず色々とやっていたのだが今にして思うと歪な関係だったと思う。そんな訳で綺礼には早く結婚してもらってこの関係を精算したいわけだがそんな目論見は全く通用しないのだった。

 #名前2#さん。ぼ、いえ、私は#名前2#さんのお嫁さんになりたいです!
 へー、嬉しいなあ。でもそれって綺礼が子どもだから言えることなんだよなー。
 そ、そんなことありません!
 そうかあー? ならこうしよう。
 どうするんですか?
 お前が大人になっても俺のことを好きでいたらお嫁さんにしてやろう。
 大人? 大人っていつですか?
 え? それまで聞いちゃう? んー、そうだなあ。お前が誰か養えるぐらいになったら、かな? うん、そうしよう。
 !! 分かりました! 待っててください!

 1日に見る夢か2日に見る夢が初夢だったか忘れてしまったがいい夢を見たらしい。朝起きた自分の顔はにやけていた。
「#名前2#さん、おはようございます」
「おー、綺礼おはようー」
 綺礼はいつも通りのパジャマではなくなぜか薄手のニットにスキニーを履いていた。初詣に行くのかと思えばずいっと近づいてくる。
「約束の時ですね。あれから何日経ったのか分かりませんが丁度19年経ちました。もう俺は#名前2#さんを養えるくらいお金を持ってますよ。すごいでしょう? ようやく大人になれました。お正月からこんなことってーとは思ったんですが日本の文化にもあるんですね。ちゃんとやり方も調べたので大丈夫です。シャワー浴びなくてもいいですけど、#名前2#さんは気にしますか? 一応俺は浴びたんですけど、浴びない方がいいなら浴びません。昨日のうちに揃えるものもそろえたので準備万端ですよ。ああ、昨日のおせちは全部捨てました。これからは俺が作るものだけ食べてくださいね。もう俺は息子じゃないんですから」
 怒涛のセリフに何がなにやら分からないまま俺はベッドへ押し戻された。もうシャワーなんてどうでもいいです、と綺礼が呟く。
「姫始めって言うらしいですよ? 素敵な響きですね」
 スウェットのズボンを引き下げられそうになる。やめろやめろ、と肩を押すが綺礼には全く響いていなかった。むしろぐいぐいとズボンを落とされていく。姫始めとかそんなんエロ同人以外で初めて聞いたワードだ。というか、なんで綺礼が俺にのしかかってる?
「何言ってるんですか、#名前2#さんが言ったんですよ。大人になったらお嫁さんにしてくれるって。ずっとお預け食らってたんですから。もうほぐしてきましたよ。#名前2#さんのちんぽを食べたいって体が疼くんです。#名前2#さんだって最近は抜いてないでしょう?」
 えぐい言葉を羅列されて酒が抜け切ってない頭はついていかない。なし崩しに体を倒される。綺礼は泣きそうな顔をしていた、ように見えた。