受け取りなさい、あなたのものだ
!よいこはまねしないでください !えすえむぷれいじゃないです !主人公がくず。乱歩さんもくず。このよはくずしかいなかったんや #名前2#が名探偵の乱歩に依頼した(求めた)ものはたった1つだったが、その1つがバカみたいに難しいものだった。彼はあって早々言ったのだ。 「僕、殺してくれる人じゃないと付き合えないみたいなんです。僕のこと、最後は殺してくれませんか?」 ベッドの中で見た彼は死にたがりにしてはとてもきれいなからだだった。 #名前1##名前2#という男について乱歩が知りえたのは重度の自殺志願者ではないということ、精神が危ういこと、親にまだ育てられている身であること、そして同性愛者であることだった。身長160cmの小さな体はまるで女性と何ら変わらないすべらかな皮膚で包まれており、短く丸められた爪は毎日ヤスリで削られている。体にはいくつもの傷があり、彼が死なない日々を続けてきたことがすぐに分かった。彼は死にたくはないのだ。死にそうな時に、自分の存在価値を見出している。面白い。単純にそう思った。そこに恋愛というものは存在しない。これが側にいればタノシイことになるだろうという思いだけだ。江戸川乱歩という男は自分の心の奥底に芽生えたものを無視してにんまりと笑う。#名前1##名前2#の運命が決まった瞬間だった。 セックスは乱歩はあまり好きではない。馬鹿になる、なんて言葉が使われるこの行為は世紀の名探偵を自負する乱歩にとっては唾棄すべき行為だった。だが、その思いが消されるほどには#名前2#との体の相性がよかった。#名前2#は男娼はしていなかったが、歴代に付き合った数を数える限り何ら男娼と変わりない。男を喜ばせるための技術ばかりがうまく、自分で快感を感じ取ることは下手くそだった。 閉じることを忘れた菊門に乱歩は自分の指を添えた。付き合い始めの頃の痛みばかりを訴えていたときが懐かしい。意図的に動かされる肉を暴いてしこりを捕らえた。ばらばらに動いた指に#名前2#が小さく鳴く。何度も果てた体にはこれでも過ぎた快感だったらしく、透明に近いものがこぽこぽと出てくる。けらけら笑ってすくいあげる。指でこすりながら、#名前2#の背中に噛み付いた。誰かにつけられたであろう傷の上に自分が傷の上塗りをするのが至上の極めだった。痛がる素振りを最初は見せていたが徐々に2人とも感覚が麻痺してきたのだろう、物足りなさを覚えるようになったのは体を重ねて数週間後のことだった。 貴方の為なら死んでもいいんです。 #名前2#は死にたくないのにそう言った。だから乱歩もそうだね、と返してその細い首を絞めあげた。ぎりぎりぎりぎりぎりぎり。ベッドの上で裸の死体が出来上がるだなんて、誰かが勘ぐりそうな話だ。どうして一緒に心中してくれなかったのだろう、という輩もいるかもしれない。 だがまあ、そんなのは関係ない。#名前2#の白く細い腕が乱歩の首に絡みつく。そして、彼もまた乱歩を絞めた。両側から擦り付けるように何度も何度も力を込める。 息が苦しい。#名前2#は何を思ったのか、首を絞められて笑っていた。そしてちょろり、と萎えていたそれから白濁の液をもらす。気色悪い光景だった。 思わず手を離した乱歩に#名前2#も手を離す。2人とも息を大きく吸い込んで、首の違和感をもっていた。もしかして折れたのだろうか? いや、そんなことは無いだろう。きっと炎症が起きそうなだけだ。 「あは、はっは、ぁ、」 その時の#名前2#は笑いたいのに体が快感を感じ取りすぎてろれつが回っていない女のようだった。先程までの可愛らしく面白おかしい少年はどこにもいない。いたのは、化けの皮が剥がれて醜くなった男だ。 男は鈴の音を鳴らすようなカラコロとした声で乱歩に語りかける。腐りきった死肉を見せつけるように体を広げて傷を光の下に晒す。乱歩のつけた傷が身体中に浮かび上がっていた。 「ねえ、乱歩さん」 「このまま一緒に死にましょうよ」 誰がするもんか。勝手に死んでくれ。言いたいのに言えない唇は勝手に動いて笑っていた。 「そうだね」 くそったれ。 お題セリフ「お前の為なら死んでもいいよ」 (´-`).。oO(まさかの実録ネタで申し訳ない) !小説『55minites』とジョジョの奇妙な冒険『岸辺露伴は動かない』がベースになってる 江戸川乱歩という人には恋愛とは逆に難しいのではないかという印象を持っていた青年は、彼に恋人がいると聞いて相当に驚いた。 付き合ってそろそろ2ヵ月は経つらしい。喉に巻かれた包帯とギプスはその恋人のせいによるものらしいが、既に与謝野先生によって治ったというのにまた着けられていた。曰く、幻痛があるのだとか。本格的にこれはおかしいのではないか、と気づいたのはそのギプスが着けられてから1週間後、太宰さんが乱歩さんに恋人について聞いたからだった。 「乱歩さん、その恋人、私たちにも紹介して下さいよー」 「やだよ」 「えぇー」 「彼は弱くてね。こんな所に来たらすぐに死んじゃうんだ」 うっとりと首を撫でながら乱歩が恋人について語る。白磁のような肌に丸められた爪に増えていく所有物としての証、そして外れない首のギプス。 太宰も青年も見ずに乱歩は語り続ける。異様な姿だった。 太宰さん、乱歩さんのことなんですが……。青年の言葉に太宰さんは「ああ、あれは危ないね」と笑った。 「笑い事じゃないですよ! もしかしたら、新手の異能者なのかも、」 誰かに攻撃されているのではないか、という考えに捕まった青年に対して太宰さんはあっけらかんと「ああ。異能者だろうね」と頷いた。 「………え、」 「あの症状には見覚えがあるんだよ。マフィアにいた時に、ちょっとね。 おそらくだけど、乱歩さんの恋人はね、異能生命体というやつなのさ」 異能生命体。とある島で青年も見たし会話した人間にしか見えない生命体。それが、乱歩の恋人? あの名探偵の? 「その人自身が異能なんだよ。そして、それは血によって繋がっている。遺伝なのさ。そいつらの幸せはね、誰かに殺されることなんだ」 「ころされる、ってつまり、乱歩さんがその恋人を殺すって、ことですか?」 「ああ。だけど、乱歩さんの頭の良さは異能を超えたらしいね。彼らは今も生きてるし、乱歩さんも人殺し…というか異能生命体殺しじゃないだろう?」 冗談みたいな話だが、太宰さんの眼は本気だった。乱歩さんに危害がある訳じゃないのに。どうしてこんなにも末恐ろしい感覚があるのだろう。 「こわいかい、敦君」 首を縦にふった。殺されることが幸せだなんて、そんなの、幸せでもなんでもない。ただの、逃げじゃないか。人生という苦役からの、逃げだ。 「だけど、それが異能なのだよ。人間とは根本が違う」 ガブは、ガブはちがった…! 彼は、人間だった! 「今、社長が乱歩さんと話をしている。終わったら恋人についての処分が決まるだろうね」 なにせ、その異能生命体の厄介なところは死んだ後もその好きな人に付き纏うっていう屍鬼みたいなものだから。