ヒロイン未満のロマンス
俺と乱歩は恋人同士だ。俺はあいにくと異能など持っていないし、別に仕事を持っているため乱歩と休み(彼の場合はまあ大体が休みのような毎日らしいが)が合うのは少ない。というのも俺は警備会社に務めているため、普段の仕事は夜勤が常である。休日は寝溜めするのがそれまでの日常であるので、金を使わない代わりに昼夜半逆転の日々を送ってきた。そこにひょいと現れたのが乱歩であった。彼の告白は「君は僕を好きになるよ。必ずね」という訳の分からないものであった。だが、俺のもとに現れる割には仕事の邪魔をかなりしてくれた。そんな乱歩が可愛く見えたのは俺の頭がイカれたのかもしれない。(といってもその邪魔のおかげで俺が五体満足でいられるのも確かな話だ。) 先程も言った通り休日が合わない。夜は俺がいない。このことから意味するのはとどのつまり俺は彼に手を出してなかった。そしてそれは彼にとっておおいに不満であったらしい。 「ねえ。ゴロゴロしたい」 乱歩からそんな風に誘われるのは珍しい。というかコイツの場合はそんな下心があってのものなのかただゴロゴロして添い寝するだけなのか分からないのだ。なので俺は添い寝する方をイメージして(下心ありきの方を断られたらさすがに気まずい。)「いいよ」と言ったのだ。いやまさか、ねえ。 ゴロ寝する時は大体リビングにあるソファーベッドを使う。俺のベッドは生憎とそんなに大きいものじゃないのだ。(女の子とならまだ行けるのだが男ふたりはさすがにずり落ちそうで困る。) 脇の間に顔を滑り込ませて乱歩はにひ、と歯を見せて笑った。スルリ、と伸ばされた手が俺の胸を行ったり来たりしながら体をまさぐっていく。 「ら、乱歩…?」 「んー?」 いやらしく笑って乱歩はピッとテレビをつけた。すると何が起きたのかテレビはいつの間に入れられたのかビデオを再生し始めた。ゲイビデオである。もう1度言おう、ゲイビデオだった。胸のそれを舐めながらンッ、と男にしては高めの声で吐息を漏らす画面の中のヤツらに思わずツッコミたくなった。乱歩はその間にも俺のTシャツを捲りあげて頬ずりしながらべろりと舐めあげた。何度も何度もやられるとまるでそこだけ性感帯のように……なんてビデオの中じゃあるまいし。 「んっ、!」 「きもちーい?」 気持ちいいかと問われればとにかくくすぐったいと言いたい。が、横になったまま乱歩が俺の上に半分乗っかって素肌を擦り合わせる姿は正直くるものがあった。 「ああ、いいよ」 言葉は無愛想になってしまったが乱歩はそれで満足したらしくまた舌でつつき始めた。俺としてはそれよりものしかかった膝をそれに当てられているのが気になって仕方ない。 ** もういいかな、と思ってズボンに手をかけると#名前2#の方が動いて体が入れ替わった。#名前2#の中では僕が受け身になるってことが決定してるのは知ってたしそれは構わないけど。ただ僕は女の子じゃないんだからクッションぐらい入れさせてほしい。そんなに体柔らかくないし。 もごもごと動く僕に気づいて#名前2#がクッションを差し込んでくれた。ふう、と一息ついたと思ったら#名前2#の手がそっと、僕のズボンに手をかけて「すまん、我慢がきかないかもしれない」なんて言った。腰よりも下に置かれたざらついた髪の毛を撫でながら僕はいいよ、と言ってやる。大好きで一生離してなんかやれない#名前2#なら構わない、そう思ったのに。 前言撤回だ。#名前2#には我慢というより抑制がいるはずだ。そもそも頭脳を使う僕と警備会社で働く#名前2#の体力差っていうのは大きいものなのに。 ずちゅっずちゅっと音をさせながら抽出が繰り返される。僕はもう何度も絶頂を味わったか分からない。とにかく#名前2#がうわ言のように好きだ、愛してると繰り返されるのが心地好くて流されてそれでヘコヘコと腰を打ち付けられていた。背後から尻臀を揉みながら「乱歩のは女よりもやわいなあ」なんて。言われても嬉しくないわけがないけど! こんな時に言わなくてもいいじゃないか!! 真っ赤になった顔を見せたくなくてクッションに埋めると#名前2#の匂いがした。余計恥ずかしくなってうう、と声がもれる。#名前2#は嬉しそうにまた勃ちあがった僕のそれを撫でて「乱歩、お前もまだイケるだろ?」とこねくり回してくる。嫌だという気も失せてどうにでもなってしまえ、と思う僕はきっと#名前2#を受け入れすぎている。