みてくれないなら徹底抗戦
Note
アンチャーテッドはプレイ済み, 公式カプも知ってる映画は映画として独自路線でいきそうだな~~という認識のもとの創作物です
ネイト、と呼びかけられて一緒に歩いていくとのっぺりした男が立っていた。地味な顔立ちで「うわ~、モテなさそう」というのが第一印象だった。彼の洋服は冴えないワーカーという感じ。それもブルーカラーの方の。まあ、おれだって真っ白お綺麗なホワイトカラーだったけれどそれは夜の世界のものだから。結局は似たような世界にいたけれど。 #名前2#だ、とサリーが言う。苗字は教えてくれなかった。向こうは軽く手を上げるだけの適当な挨拶をよこした。おれも会釈だけした。#名前2#、こっちはネイト。サリーが紹介してくれる。向こうはこっちを全く見なかった。腹立つ。 #名前2#の担当はドライバーだった。腕のいいドライバーがいるのといないのとじゃ仕事が全然違う、とサリーは言いながら#名前2#の肩に手を回していた。サリーには何にも言わないんだなと思ったらちょっと、いや、かなりムカついた。今度からおれだってチームに入るのだ。認められないなんて困る。 #名前2#は腕は悪くなかったがとにかく口が悪かった。こっちのミス……たかが数分の遅刻というズレをものすごくネチネチと詰め寄ってくるのだ。スケジュール通りにいかないなんて初めて盗む時にみんな分かることだろ!? そをサリーに愚痴として言っていたけれどサリーはニヤニヤとおれを見るだけだった。 「まあまあ、#名前2#に任せてろって」 「任せてる! 任せてるから腹立つんだよ! もう、もっと褒めてくれたっていいじゃんか!?」 #名前2#の精密なドライブ捌きは確かに自分では真似できない。自分たちを逃がすということに関して彼は天才的だった。なんの嗅覚がはたらくのか、予定していた道を変更して誰かの家に突っ込んだりしたときもあった。運良くその家の泥棒と出くわして逆に感謝される立場になったときもあったっけ。おれたちだって泥棒なのに。#名前2#はいつだって真っ直ぐであのひねくれ者のサリーとチームを組むことを了承するなんて不思議だった。 #名前2#はノートをいつもとっていて、無事に仕事が終わるとガリガリとアナログでミッションの改善点を書き込んでいた。耳がいいのか、聞こえてきた音を書き込んでは自分なりにまとめた下手くそな絵をつけている。この前のときはおれの女のかわし方がうまいって。照れちゃうよね。 なんでそれを知ってるかと言えば、聞いた訳ではなく盗んだから。おじさんたちがシャワーを浴びている隙にざっと読んだ。#名前2#はそのままベッドにいってしまって、おれはノートを自分のベッドにまで持ち込んだ。ほんとに丁寧に書き込まれていて、ノートの中のおれとサリーはまるでホームズとワトソンか? ってくらいに躍動感がある活躍をしていた。結局は盗みのためなのに。 #名前2#は着替えるその時までノートがないことに気づかなくて、気づいた時にはひっどい顔でこっちを睨んでいた。サリーじゃないの、と笑って言うと「あいつはもうノートの内容を知っている」なんて返してくる。つまらなくなっておれはすぐにノートを返した。 はいはい、ふたりはチーム組んでたんだもんねえ。おれよりは仲良いですよねえ。 サリーはその光景を見てげらげらと笑った。おれがあげたネコを抱きかかえて「ほら見ろ。ネイトが子どもっぽい嫉妬してるぞ」なんてからかってくる。しっと。嫉妬? Navyとかの聞き間違いであってほしかったけどサリーは「ぼうやは嫉妬深いなあ」なんて笑っている。 #名前2#の顔は恥ずかしくてみられなかった。さっさといつものようにひとりでどっか行っちまえ、と思ったけど#名前2#は離れなかった。 「ネイト、お前のことはちゃんとすごいと思ってる」 まじめくさった声でそんなことを言われて。おれは恥ずかしいとかやめてほしいとか思う前にめちゃくちゃ嬉しくなってしまった。 #名前2#はまた自分の車に戻ろうとする。あの古い車が好きなのだそうだ。定期的にメンテナンスとして掃除と手入れをしていた。定期的にというより、2日に1回はというべきだけど。 サリーは笑ったままネコとたわむれていた。あんなに嫌だって言ってたくせに今ではすっかりモンスターペアレント。 「ほら見て、あそこにトマトになったぼうやがいる。#名前2#は手強いからなあ」 ああ、くそ。うるさいぞ、ネコに合わせておれをからかうな!