これは神様が下した罰

※性癖で地の文は一人称が「私」です。 ※スカーの片想いです。ケモホモ、近親相姦に分類されるので注意。 ※続編はワードパレットにあります  兄の#名前2#は優秀なライオンだった。この土地を治めるのに相応しい性格と気品とそして強さを併せ持っていた。そんな兄が憧れで私は一度彼のように狩りをしてみたいと思った。狙ったのはムーだった。1匹は確実に捕まえられると思った。身重のそれに狙いをかけた時、#名前2#が私の前に現れた。 「なぜだ、なぜ俺の邪魔をする」 「お前には狩りはまだ早い」  諭すようなその言葉に私は愕然とした。私は彼にとっては心配をかけるような、子どもと同じような存在だと思われていたのだ。ひどい辱めだった。私は#名前2#の隣に自慢の弟として立ちたかったのだ。そのことをきっかけに私は#名前2#と離れるようになった。#名前2#の周りにはたくさんのライオンがいる。それを外から眺めた時、私はあの大勢の群れの一部だったのではないかと思った。もちろん第二王子という身分こそあるが、それは#名前2#は気にすることでもない。私はあの群れと同じで彼に守られるべきものになっていた。血の繋がった弟でさえも彼は自分から切り離してしまったのだ。 「なら、私が強いことを証明しなければ」  そうしないと彼の傍に横たわることすらも許されないのならば。私は強くあることを決心した。どうしても私は彼の傍にありたかった。  ある時の狩りで私は目を怪我した。傷が塞がるまでは私は安静にしていろ、と言われて葉っぱをべたべたと擦り付けられた。傷に染みるし何よりひどい臭いがした。逃げるように顔を振ると暖かい手が私の顔を引き止めた。 「おい、逃げるな」 「……。王子」 「王子? お前も王子だろう、不思議なことを言うな。スカー、傷を早く治せ」 「#名前2#様、そのような足で触らないでくださいまし。傷を触るのなら水で洗ってからですわ」 「すまんすまん。我が弟に傷をつけるなんてやるな、と思っただけだ」  我が弟。他意もないその言葉に顔が緩んだ。やっと笑ったな、と#名前2#の足が私に覆い被さる。じゃれあいに仄かな甘味を感じた。その傷跡を私は厭に感じることもなくなった。スカー。私はそう名乗るようになった。 「スカー、見てくれ。この土地を」 「広い、肥沃の地です」 「そうだ。私はここを治める王になる。お前にも、私を支えて欲しい」  はい。私は傍におります。そう頷いたのは過去の記憶である。私は兄からのその一言で心が踊らされたにも関わらず兄は私に変わらず守るものとしての扱いしかしてくれなかった。それでもその立場にいられたのなら良かったのに。  私と兄に妻ができた。ジラは野心家だった。私を見て即座に同じ匂いを嗅いだと言う。 「あなた、お兄さんが欲しいのねぇ」  私は、兄が欲しかった。手を伸ばすことなど許されない兄に焦がれていた。兄が王でなければ、もしくは兄がライオンなどという種族ではなく別の下級種族であったならば。私は脇目も振らず彼をモノにしていただろう。いや、私が彼のモノになりたかった。#名前2#の声で名前を呼ばれ、その舌で私を撫でて欲しかった。「お前は特別だ」とたったそれだけを望んでいた。  義理の姉という立場になるのか、あのメスライオンは。私よりも強くない彼女が兄の横にいることは想像以上に私を苛ませた。私がずっとずっと欲しがり手を伸ばしていたのに彼女は現れたと思ったらすぐに隣に寝ることを許された。#名前2#の妻という立場はそれ程までに魅力的な場所だった。 「スカー、一緒に出かけないか」  私は兄にこう呼ばれるのは好かなかった。兄には私の名前を呼んで欲しかった。彼が微笑む度に私は自分の傷がうずくように感じた。 「ええ、ええ。お供しますよ」  私は兄に跪いた。兄は父の跡を継ぎ王になっていた。もちろん私も王になりたかったが、兄を越えることは不可能だと心のどこかで思っていた。兄が好きだった。兄のことが好きで仕方なかった。私は兄の跡を追いかけて歩いていった。 「スカーよ、ジラとはどうなのだ?」 「どう、とは?」 「はは、兄から聞くことではなかったか」 「………」  兄からそういう風に言われると私は弱かった。兄の期待に応えなければという気持ちになる。しかし私はジラと子どもを作ることはできなかった。もちろん作りたいとは思っていた。作ったならば兄に褒めてもらえるだろうということは私でもすぐに考えていたのだ。しかしできなかった。出来なかったのだ。 「スカー、私は次に生まれた子がオスならば……その子に跡を継がせようと思っている」 「は、」 「スカー、」  彼の言いたいことは分かる。私に支えろと、またあのように言うのだろう。しかし私は#名前2#というライオンに跪いたのだ。この血になんの謂れもないのだ。この血さえなければ私は、このライオンと共に、生きることさえ。出来たというのに。私は逃げた。それは初めて#名前2#から逃げたという体験だった。  私は#名前2#のことが怖くてたまらなくなった。そしてシンバが生まれた。シンバは次の王になる。それは#名前2#が私の前から消えることを意味していた。それが怖くてたまらなかった。私は、#名前2#と共に居たいとそれだけだったのに。 「ねえ叔父さん!」 「……なんだ小僧」 「ねえ、叔父さん。僕が王様になったらどうしよう」 「…………」  私はシンバを見ながら何となく。なんとなくだが、コイツが死ねばいいのにと思った。コイツも、#名前2#も死ねば。俺はひとり、その骸をかき抱き悲しむのだ。甥と、兄とを亡くした悲しき王として。それならば、私は。 「王になることを望むのに」