きらきらの破片
ウルトロン【ULTRON】 :平和維持プログラム。トニー・スタークによって作られた。ロキの持っていた杖のパワーをもとにしたAI。敵。 アイアンスーツとの死闘を終えて、全員がラボに集まった。みなトニー・スタークというマッドサイエンティストが何をしたのか話せ、と目で語っている。 と、そこにウルトロンを追いかけていたソーが戻ってきた。信念を目にたぎらせて、まっすぐにトニーに向かってくる。首をつかみ宙に浮かせた。 静脈が絞められて喉仏がいたんだ。 「伝染した」とクリントがつぶやいた。 確かにそうだ、と#名前2#は思う。シールドでも、トニーも、ソーも、力を奮うのだ。守るために。 「言葉で!」 「お前には通じないだろう」 「……ソー、離してやれ。そのままじゃ話しが出来ないだろう。敵を知ることから、戦いは始まると教えてくれたのはお前だ」 ソーは深呼吸してトニーを床におろす。ソー曰く、 ** すまないが、2人きりにさせてほしい。と#名前2#が言った。クリントが最初に出ていき、マリア、ナターシャ……と一人ずつラボから出ていき最後はベンジャミンが心配そうな目をしながらも出て行った。ズズッとトランスフォーミウムが周りから見られない様に窓も扉も遮断する。 「トニー」 「なんだ」 「キャプテンは確かに理想を追っている。俺たちの力だ宇宙的恐怖に勝てないことはいつか必ず起きる」 「なら! 今、力のあるうちに手を打つべきだった!」 「だが、トニーの言っていることもただの理想だ。机上の空論を、その天才的な頭は理想と勘違いしたのか」 がん、と#名前2#の顔が殴られた。真っ赤になった拳をトニーはさすって、「お前もそんなことを言うのか」と泣きたいような怒っているような表情を浮かべる。 すっと一歩、#名前2#が近づくと一歩トニーも離れる。 「トニー」 「……」 「俺は、トニーを責めるつもりもないしほめるつもりもない」 「ああ、知ってる。お前はそうゆう奴だ」 「こんな事態になってしまった今、責任をとらなければいけない」 「……ああ、そうだな」 「トニー、なにがあった。お前は理想と空論とをはき違えるような男じゃないだろう」 そっと伸ばされた手をトニーは振り払えなかった。#名前2#の手は温かく、自分の手がいつの間にか相当冷えていることに気付いた。 「仲間が、死ぬ幻を見た」 「ヴィジョンを?」 「ああ。……僕は、キャップに腕をつかまれて言われた。『君が、動かなかったから』ってな。ーーキャプテン・アメリカにそう言われたらさしもの僕の呵責が起きたよ。吐き気を催す気分だった。ブレーキの効かない全速力のオートバイを乗り回したような、そんな感じだ」 「……。トニー、それは」 「魔女の仕業だろ? わかってはいるんだ、頭では。でも、体はついてこない」 「お前は、ヒーローをやめたいか?」 「それは、…。わからない。ヒーローとして人を助けないと」 ぶるり、とトニーの頭が揺れた。 命には必ず終わりが来る。それを身をもって感じるせいか、PTSDが起きていると診断を受けた。不眠症、中毒症状、依存症。いろんな病が体も心もむしばみ、人として最低で倫理観も無視した合理的な判断ーとても人間らしい判断ーを結果的に選ぶことになった。 「トニー。聞いてくれ。……今までのはただのエンジニアとしての意見だ。ここからは1人のお前の友人として言う。無理にヒーローになるな。お前は、アイアンマンだ。スーツ以外に考える暇があったら、俺の心配でもしておけ」 「……#名前2#ッ!」 どでん、と抱きしめられて倒れ込んだ。ペッパーがいたら一緒に抱きしめることだったろう。 親友…というには深い愛情を受け止めて#名前2#はトニーの頭をなでた。 「僕は幸せな男だな」 「ああ。……君を大事に思う男に支えられているんだからな」 「ハッ、それもそうだな。なあ、君は友情を信じられるか?」 「わからない。形はないものだ」 「ーー…じゃあ、恋愛と友情の混ざった好意は、存在していると思うか」 「? ……どういうことだ」 「分らないならそれでいい」 起き上がろうとするトニーの腕をつかみ、#名前2#はまっすぐに瞳の奥を見つめた。有無も言わさず真意を探るようなその視線にトニーはたじろいだ。今なら顔が真っ赤に染めあがっていることだろう。 「…。あると、思う」 「!」 「トニー、愛とは好意と恋愛の表裏一体になるものらしい。愛なんて形の見えないものだ。本当にあるかどうかもわからない。だが、ペッパーやお前が俺にくれるものを愛と呼ぶのならそれは存在している、はず…だ」 いつもとは違って戸惑ったような言いなれていないようなセリフに、トニーはちょっとばかし笑って#名前2#の体を起こさした。 「ありがとう。ありがとう、#名前2#」 「いや、俺の方こそ。仲間のために、ありがとう」 お前がいたから、仲間に目を向けるようになったんだ。とはトニーは言わなかった。 抱きしめ、頭をなでる友人に今はただ甘えていたかった。