タウン・ルール
「それじゃあ、スコットっていうのは昔の友人の名前なのか」 「ああ」 新しいトランスフォーマー、ベンジャミンは#名前2#のために作ってみせた武器をいじりながらその性能を確かめていた。#名前2#はそれを避けながらトニー・スタークと通話していた。 最後の1発が撃ち終わったところでようやく一息つく。 ベンジャミンは笑いながら『どうよ、これ! ニュータイプ、グレネードガン!』と差し出してきた。持ってみるとかなり重い。こんなのは戦闘中に出せない。 「却下だ、ベン」 『ええー!?』 ベンジャミンの巨体をどかしてタオルを取りに行くとタオルが投げかけられた。 「ありがとう、ブルース」 「これぐらい平気だよ。……それにしても意外だね。君は友人のために名前をもらうなんて、あまりしなさそうなのに」とブルース・バナーが言う。 彼もトニーに連れられてニューヨークへやってきた。トランスフォーマー作りには興味があったらしく3人で作り上げたのだ。今度のものはトランスフォーミウムを使ったステルス機能つきのトランスフォーマーである。 ブルース自身はトランスフォーマーについて研究したいことがあるらしく、#名前2#と一緒に行動していた。 「……こんなこと言うと馬鹿にされると思うが、まあいい。 スコット…名前はスコット・ジャニーンだが、そいつとほとんど付き合ってた状態だった」 「……おいおい、ゲイ宣言か?」 「いや。多分スコット…これじゃトランスフォーマーとかぶるな。ジャニーンとだけだな。他の男と付き合うとかは考えたことがない。女が嫌なわけでもない」 「じゃあ、なんだってそのジャニーンと付き合ったんだい?」 「……ジャニーンは、苛められやすい男だった。見かねて助けてやったりしていたら、いつの間にか付き合っていたな。俺にもあまり分からない。いい奴だったとは思うが」 「死んだのか、ジャニーンって男は」 「ああ。元から情報を得るためだけに近づいた男だった。最後は俺に殺されたいと言ったから殺した」 意外なオチにトニーもブルースも黙った。映画のような話をして、最後には存在を殺して名前だけもらったとは……。 「君、意外と悪魔のような人だね」 「バナーの言う通り、悪魔だな、お前」 「失礼だな」 キュインとベンジャミンが鳴いた。 ** フューリーから連絡が入り、ヒドラの組織がわかった。ストラッカーというそうだが、名前はどうでもいい。 ベンジャミンも#名前2#も動くのは久々である。アイアンマンのスーツと楽しむことはあったし、ソーと遊ぶこともあったが実際に敵と戦わせるのは初めてだ。 ストラッカーの迎撃に#名前2#は淡々と対応していた。スナイパーは一発ずつその額を狙い、戦車はステルスで姿を隠したベンジャミンの剣が突き刺さって爆発する。 接近した敵もその薙刀で一括で掃除されていくかのような感覚があった。地上はいいから上にあがれ!とのキャプテンの指示で#名前2#とベンジャミンが木の反動で空を飛ぶ。超小型戦闘機となって#名前2#がマシンガンをまき散らす、がまだ器用にあてることはできない。 「Fxxx!!」 叫んで地上に戻ってきた。ベンジャミンにはバリアをなんとかしておけ、と命令をのこして。 イヤホンからはスティーブの小言がぽんぽんと飛んできている。クリントは笑っていたがナターシャもスティーブ寄りで怒っている。 「#名前2#、口が悪いぞ」 「トニー、それは俺への嫌味か?」 「いや? 子供の前だから気をつけろってことだ。…ベンがバリアの前でおろおろしてるぞ、エンジニア」 「はいはい」 『ベンジャミン、ミサイルだ』 『おう、その手があったか!』 手持ちのナイフじゃどうも効かないんだ、とベンジャミンは笑ってミサイルを肩にかついだ。 『ドカンだ!』 「ん? バカッ!」 自分の元への爆風は考えていなかったのか、ベンジャミンはバリアの破壊とともに空に飛び出された。爆風に体をのせ、ぐるん!と一回転してロボットモードのまま翼を出した。ロケットがそなわった翼は音を立てて#名前2#のもとに旋回してくる。 『バカってオレのことォ? ひどいじゃん、#名前2#!』 『バカはバカだろう』 「君たち! 変な言語でケンカしてる暇があったらストラッカー制圧の手伝いをしろ!!」 「キャプテン、すまない」 バチバチとバリアは消えていく。#名前2#はスティーブをベンジャミンの手に乗せて「行ってこい!」と放り投げた。 「…。痛いぞ、#名前2#」 「すまなかった。面倒だったんだ」 インカム越しでも分かるスティーブの不機嫌さに#名前2#はクスリと笑った。そして振り向き様に1発撃った銃弾が強化人間の頭をかすめた。撃った本人は強化人間の奥にいる敵を狙ったつもりだったが違うものに当たった感覚がしていた。驚いたという言葉のみだ。 撃たれた方も驚いた。素早く動くことが自分の実験体としての成果であるはずが、こんな男にやられるなんて。 「……!?」 「#名前2#、危ないッ!」 ナターシャの声が響いたと思ったら#名前2#は腹に大きな穴を作っていた。ずん、と体が沈む。雪が#名前2#の体を包み込んだ。